映画インサイダー
1999年、マイケルマン監督のノンフィクションのアメリカ映画
この映画はアメリカで実際にあった
タバコ会社の隠ぺい、虚偽に対する
インサイダー(内部告発)を題材にしている
興行的にはさほど伸びていないのだが
アカデミー賞7部門ノミネートの実力は必見の価値あり。
個人的にはグラディエイターや
セントオブウーマンでアカデミーを取った
ラッセル・クロウ、アル・パチーノよりも
この映画の両者の方が味があっていいように思う。
さて、この映画から見える
報道とはなにか?
ジャーナリズム精神とは?
幾つか考えさせられたセリフを集めてみた。
日本料理停での一場面
ローウェル「60ミニッツ(報道番組)に出るなら
タバコ会社から解雇された理由を知っておきたい」
ジェフリー「どうして?」
ローウェル「連中は君の過去をほじくり返して攻撃材料にする。だからだ。分かるか?」
<割愛>
ジェフリー「僕はただの”ネタ”だろ?利用価値のある。
番組の材料でしかない。」
ローウェル「テレビ局にとっては多分そうだろうが、
俺にとっては違う。大事な人間だ。
テレビで3000万人の視聴者に公表してしまえば
それまでとはもう、何もかも、まったく違って来る。信じるか?」
ジェフリー「いや」
ローウェル「本当だ、その後の判決は
世論と言う法廷で下されることになる」
<割愛>
ジェフリー「情報を公表すれば何か起きると信じているのか?
ただ自分の仕事は立派だと自負したいだけじゃないのか?ステータスがあると。
だが、視聴者にとっては気晴らし程度なもので、何も変わらないかもしれないし。僕も家族も利用されて路頭に迷うかもしれない。違うか?」
ローウェル「何を言ってるんだ!俺は情報提供者を見捨てるようなことはしない!」
そうして、ジェフリーは
真実を話すという事を決心し
ついにテレビカメラの前で内部告発をする
テレビ収録の一場面
マイク「後悔はしていますか?内部告発したことを」
ジェフリー「ええ、時には後悔します。
逆に言わなければ、と、思う事もある。
でも、もし・・・
”する価値があるか?”と聞かれたら・・・
あると答えます。」
しかし、ジェフリーの人生は狂い始め
ローウェルにも圧力がかかる
顧問弁護士との一場面
ローウェル「報道機関と言うのは内密な情報が入っている。
我々は確認して、公共の利益になると判断すれば放送する。」
マイク「しっかり確認するから優れた番組になってるし訴訟にも負けたことが無い、ほかには?」
<割愛>
カペレッリ「今回の番組は問題だらけですね」
ローウェル「どういう意味だ?」
<割愛>
カペレッリ「どこよりも高い基準を持たなければならないはずです。我々はすべての基準となるのですから。」
ローウェル「基準と言うのは、
その人間が真実をいっているかどうか?だ。」
カペレッリ「牴触(ていしょく)行為という観点からすれば
真実であればあるほど損害も大きいんです」
ローウェル「何だって?」
カペラッティ「彼が話した内容は会社のものでしょ?
だから真実であればあるほど会社の損害も大きい。
嘘なら情報は漏れたことにならず、損害も少ないんです。」
ローウェル「まるで不思議の国だ」
<割愛>
ローウェル「要するに本社は、放送を中止しろと言っているのか?」
ローウェルは戦う
彼は銀行の知り合いつてで
ある情報を手に入れる
放送中止決定の一場面
CBS弁護士「今回の件については、ワイガンド(ジェフリー)のインタビューを抜いた別のバージョンを作っておくことに決めたよ」
ローウェル「だが、まず外部にチェックさせるという
カペレッリ弁護士先生のたわごとはどうなったんだ?」
弁護士「それもやるさ、別バージョンを使わずに済めばいいが
念のため用意はする」
<割愛>
ローウェル「ジャーナリズムの鏡と言われてきたCBSのニュース部門が一体いつから、弁護士たちに60ミニッツの内容を決めさせるようになったのかな?」
<割愛>
ローウェル「これを見つけた。CBS社のウェスティングハウス社への売却に関するファイルなんだ。」
<割愛>
ローウェル「会長がCBSを一株81ドルで売ろうって時に何十億ドルもの訴訟になりかねない問題が急に起きたらどうだ?売却はお流れだ」
<割愛>
ローウェル「問題は何が大事か?だ。牴触行為に当たるから穏便にしろと騒いでいるが、たばこ会社に訴訟を起こされてCBS売却が流れるのだが心配なんだ。
だから、やれ放送を中止しろ、ワイガンドと手を切れ
命令に従えなんてことを言っているんだ」
ドン(プロデューサー)「おおげさな!」
ローウェル「そうか!?
俺の仕事は、ワイガンドの様な告発者を
説得して、我々を信頼させてテレビに出すことだ
俺はやった!
連れてきて、ちゃんとインタビューをさせた。
彼は守秘契約違反までやってのけたんだぞ!
しかも彼はアメリカ史上最大の健康問題で最悪の被害の企業による不正行為の裁判で最も重要な証人でもある!!
ワイガンドはもう後戻りできない!!
彼はカメラの前で真実を言ったか!?
イエスだ!
ニュースの価値があるか!?
イエスだ!
それを放送するか!?
もちろんノーだ!!
なぜ?
真実を言っていないからか?
違う!
彼は真実を言った!だから放送など出来ないんだ!
真実を言えば言うほど悪いときてる!
」
ドン「常軌を逸してる!
それじゃアナーキストだ!
全部流さないんなら半分でもないよりましじゃないか!
だが君は会社を潰しても
自分が満足したいのか!」
ローウェル「あんたはビジネスマンか?
それともジャーナリストなのか!?
どっちなんだ!?
放送の仕事は、この俺とマイクと
スタッフしか真剣にやっちゃいないってことか?
この俺が会社をつぶすだ?
ふざけたこと言うなよ!
いいか、あんたらのやっている事は
報道って仕事を潰す事なんだ!」
だが結局ローウェルは負ける
そしてワイガンドへのメディアによる
個人非難攻撃が始まる
ジェフリーとローウェルの電話の一場面
ローウェル「前の結婚の事隠してたな!娘がいたことも」
ジェフリー「何の関係があるんだ?知る必要の無い事じゃないか!」
ローウェル「ほう、君にそんなことが分かるわけか!
いつからマスコミに詳しくなった?」
<割愛>
ローウェル「一つでも嘘があったら。
何もかも嘘にされてしまうんだぞ!
分かるか?言ったこと全部だ!」
ジェフリー「僕は真実を話した!」
ローウェル「言ったことは一つ残らずだ!俺も弁護できなくなるだろ!
手を縛られたことと同じことだ!すぐわかるような事を隠されてたんじゃな!
やつらはすべてを暴き立てる、必ず」
<割愛>
ジェフリー「誰だって小さな傷の一つや二つはあるだろ!!」
ローウェル「問題はそこだジェフリー、そこなんだ!
どんな人間にだって何かあるっていう点なんだ!!
連中は隅から隅まで探し回って、
どんな傷でも、どんなミスでも、洗いざらい見つけ出すだろう!
そしてそれを片っ端から捻じ曲げて
誇張して言い立てる!
分からないのか?」
ジェフリー「証言とは関係ない!
証言とは関係ないはずだ!あれは真実だ!
真実を!真実を言ったんだ!!」
ローウェル「連中には
そんな事問題じゃない!」
追い詰められたローウェルは
究極の手段に打って出る
それは彼自身が
インサイダーになる事だった
プロデューサー、ドンとの一面
ドン「古いニュースさ、すぐに忘れ去られるさ
15分の名声は過ぎた」
マイク「いや、それは名声の話だ
名誉な場合は15分かもしれないが
不名誉な場合はもっと長いだろう
我々は圧力に屈した
これはおろかで間違ったことだよ」
この映画から一体どんなメッセージが読み取れるだろうか?
それは、報道や倫理や道徳
正しい事とは何か?
真実とは何か?
さあ、これで
明日見るニュース番組に対する
視線は変わっただろうか?
最後にローウェルの一言を