事実にどこまで近いのか?


ネタバレ注意

 

ようやく斧を振り回して無い方の
リンカーンを見ることができましたよ

 

アメリカ合衆国第16代大統領
エイブラハム・リンカーン

アメリカでもっとも愛された大統領

「人民の人民による人民のための政治を地上から根絶させない」というスピーチ、有名な奴隷解放宣言で教科書でもおなじみだ

映画ではその彼が成し遂げた功績一つ
合衆国憲法修正第13条の採択にスポットを当てて
いかにしてこの法案が可決したのかを描いている

個人的に、リンカーン大統領の伝記的映画なのかと思いきや
思いのほか焦点が絞られていて意外だった

 

史実を扱ったこの映画
実際、事実とどこまで近いのだろうか?

 

高潔なイメージが先行するリンカーンだが
実は興味深い一面も多くある

一つはリンカーンは同性愛者だった可能性

実際にジョシュア・フライ・スピードという友人と
数年ベッドをともにしている

以前ヒストリーチャンネルでの番組、
歴史上の人物の意外な一面、で扱っていた
この事実、本国アメリカでもあまり知られていない様子

他にも、リンカーンは子供時代、
父から無理矢理働かされていた様だ
その際には働いた賃金も父に奪い取られていたとか
この経験がのちの奴隷解放に
つながったと考えている研究者もいるようだ

面白いエピソードに、リンカーンが
決闘で殺されそうになった話がある

事の発端はリンカーンが書いた
ジェイムズ・シールズに対する揶揄する手紙、
怒ったシールズはリンカーンに決闘を申込み
リンカーンは本当にこの決闘を受けてしまう
結局、(聞いた話では)友人の仲介があって和解するのだがこれは明らかにリンカーンが原因の一件だ

要はリンカーンが悪口を言ったら、
喧嘩を売られたのだ

あの高潔な大統領からは想像もつかない

映画では全く触れられていなかったが

任期中彼は水銀中毒だったこともあったらしい

原因は息子の死だとも、政治的ストレスだとも言われている
かなりのうつ状態に陥ったこともあるようだ

 

無論映画は、政治的駆け引きや
背景にある彼の活動にスポットを当てているので
こういった色物エピソードは盛り込まれなかったのだろう

そんな映画の中身も
実は事実と少しずれがあるようだ

劇中、コネチカット州が奴隷制廃止に
反対票を入れるのだがこれが全くの逆
後になって指摘が入ったが、製作者側の対応は、

面白くするための脚色っス

といって一刀両断

おまけに間違った事実が入ったまま、
教材としても採用されることになり
コネチカットはヤキモキしている様子

 

映画はかの有名な、劇場でのリンカーン大統領の暗殺で
幕を閉じるのだが

ほかにも暗殺未遂事件がある

たった一人夜道を馬で移動していたところを銃で狙われ
弾丸が帽子を貫通、
この事件をきっかけに、大統領専任の護衛部隊
いわゆるシークレットサービスが組織されることになる

逆に言えば、それまで大統領の護衛が手薄だったというのも
面白い事実だ

リンカーンにまつわる話は死後もある
なんとリンカーンの遺体は
全く朽ちていなかったのだ

死後彼の遺体は、北部の主要都市を回る事になるだが
このときの腐敗防止処置が
かなり念入りに行われた為、こんなことが起きたそうだ

なぜそんなことが分かったかというと
リンカーンの遺体を盗もうとした奴らがいる

事件は未遂におわるのだが、
再発を恐れて、リーンカーンの遺体が移される
その際に棺を開けたところ
死んだ時の姿のままのリンカーンが眠っていたそうだ

 

映画が事実にどこまで近いのか?というなら

映画的な面白さや
理想のリンカーンを追うあまり
結果的に、

史実だが事実とは違うリンカーンになっている
そんな感じになるのではないだろうか

日本で言ったら、忠臣蔵が
実はかなりの脚色をされていることに
近いのかもしれない

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